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解剖について思うこと

 今日の札幌は秋晴れです。日中はまだ半袖の日もありますが、朝晩は長袖が必要になってきました。

 私も参加している、SIDS家族の会(SIDSなどの病気や事故、流産・死産などで赤ちゃんを亡くした当事者を支援するための、当事者による自助グループ)は今年で設立20周年を迎えるそうです。20周年の記念行事の1つとして、当事者へのアンケート調査が行われているのですが、なかなかアンケート数が集まらず、苦労されているそうです。

 アンケート調査は「なぜ、日本では亡くなった児の解剖数が少ないのかを検討するための調査」であり、当事者が児の解剖について医療者からどのように説明を受けたか、説明をどのように受け止めたか等の調査項目がありました。

 亡くなった子の解剖をするかどうかは、親にとってはとてもデリケートな問題だと思います。「なぜこの子が死んでしまったのか?原因を知りたい」という強い思いがある一方で、「原因がわかったからと言って、この子が戻ってくる訳ではない」「これ以上、この子に痛い思いをさせたくない、体に傷をつけたくない」という思いがあり、この2つの思いの間で悩み、それぞれの親がそれぞれの答えを出さなくてはなりません。両親の間で意見が食い違うこともあるでしょう。

 周囲の人で、解剖の是非についてあれこれ口を出してくる人もいるかもしれませんが、私の意見としては、親以外の人が、親の決定にあれこれ言う権利はないと考えています。「子どもの死因」について何も考えずに、死を受け止めることは難しいので、解剖することを選択しても、選択しなくても、どちらの場合でもその結果に悩むのです。そういった諸々のことを受け止めなくてはならないのは親なのですから、周囲は親の選択を尊重し、支えてあげるべきなのではないでしょうか。

 医療者には、以下のことをしっかり説明し、当事者の気持ちに寄り添った対応をして頂きたいと願っています。

1.解剖することへの親の抵抗感について十分な共感を示した上で、解剖をすることの意義について説明する。

・親が「これ以上、子どもに痛い思いをさせたくない」という感情をもつのは当然のことであるけれども、亡くなった原因についてわからないままというのもとても苦しいことであること(特に母親は、自分がとった行動や自分の体が原因ではないかと、自分を責め続けることが多い)
・死産の場合、死因は、母体側の要因と児側の要因とに分けて考える必要があり、児側の要因を知るためには、解剖をすることが大切な検索法であること
・今後、次の妊娠を希望するようになった場合、今回の児の死因がわかっていると、次子での再発可能性や予防する上で注意すること等がわかり、親の不安を軽減することができること

 産婦人科診療ガイドライン 産科編2011年には、児の病理解剖について下記のように記されていました。

・児の病理解剖(剖検)は非常に情報量が多く、重要な死因検索法である。
・原因不明の子宮内胎児死亡例(102例)に剖検を行い、そのうちの73%で死因が特定できたという報告がある。
・児の解剖と病理組織学的検査によって、胎児の形態異常の他に、貧血、感染、低酸素症、代謝異常などの推定が可能となる。
・児の外表所見や剖検時の所見から染色体異常を疑った場合など、必要に応じて児の染色体検査を行うこともある。
     〜産婦人科診療ガイドライン 産科編2011年 320P から一部抜粋

2.解剖をしない場合のデメリットについても説明する。
 
・上でも触れた通り、死因がわからないということもとても苦しいことであること
・死因がわからないと、次の妊娠を希望する際にも、再発可能性や予防法について検討することが難しいこと

 私の場合、解剖をするかどうかについて医師から話をされること自体が全くなく、「死産児に対して解剖をするということはあまりないのだろうか」と疑問を持ちつつも、「死因がわかったとしてもこの子は戻ってこない」という気持ちや、あれこれ医師とやり取りするエネルギーもない、という打ちのめされた精神状態だったので、自分から解剖についてお願いするということもしませんでした。

 でも、このことは心のどこかにずっと引っかかっていました。あの状況で解剖について医療者と話し合うことはとてもエネルギーのいる大変なこと(当事者にとっても、医療者にとっても)だけれども、やはり、きちんと解剖についての情報提供をしてもらった上で、当事者が選択するべきことなのではないかと。

 解剖をするかどうかを含めて、「子どもの死因」について医学的な知識・情報を十分に提供しつつ、親と医療者が話し合うことは、その後、親が子どもの死を受け止めていくためにも大切なプロセスなのではないかと思います。

 医療者がとても大変な仕事をされていて、時間に追われていることも重々承知していますが、突然の子どもの死に呆然としている親に寄り添う時間をとり、必要な情報提供をできる限りして頂ければと願っています。

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赤ちゃんとのお別れの仕方~思い出を残す方法

 お腹の中で赤ちゃんが亡くなっていることがわかってから、赤ちゃんと一緒に過ごすために残された時間は本当に短いものです(私は出産後2日でお別れしました)。その限られた時間の中で、親は、赤ちゃんのためにできることを考え、行動しなくてはなりません。でも、深い悲しみに圧倒された状態で、赤ちゃんとの思い出を残すことまで頭が回らず、葬儀が終わってしまった後に、「あの時、こうしておけば」と後悔される親御さんもまだまだいらっしゃるようです。

 流産・死産に関わる医療従事者の方には、悲しみにくれて、身動きがとれなくなっている親のために、赤ちゃんとのお別れの仕方、思い出の残し方を具体的にアドバイスし、協力して頂きたいなと強く思います。

・赤ちゃんとの対面、赤ちゃんを抱っこすることの大切さ
 昔は、流産・死産すると、「赤ちゃんに会うと情がわいてしまい、却って母親が辛い思いをするから」といった理由で、赤ちゃんを抱っこもさせてもらえないことがほとんどだったそうです。今では、子どもを失った悲しみに向き合い、きちんと受け止めていくためには、亡くなった子どもにきちんと会い、抱っこしてあげることがとても大切だと考えられています。
 私の場合、お腹の中での息子の発育は順調で、38週での出産でしたので、出産後、息子に会わないということは考えませんでした。出産直後に、助産師さんから、「赤ちゃんを抱っこしますか?」と聞かれ、「はい」と答えると、胸に生まれたばかりの裸の息子を抱かせてくれました。あの時感じた息子の温かさは、今後もずっと忘れない、大切な思い出です。
 私は退院するまで、息子と一緒に個室で過ごしましたが、自分一人で息子を抱いていると、悲しくて悲しくて涙が止まらず、胸がつぶれてしまいそうで苦しくて、あまり抱っこをしてあげることができませんでした。夫は仕事を休み、毎日、病院に来てくれましたが、娘がいるため、夫と私と息子の3人で過ごせる時間は短いものでした。今では、娘を夫の両親に預かってもらって、もっとたくさん夫と2人で泣いて、息子に触れて、抱っこしてあげれば良かったなと思います。
 病院によっては、スタッフと一緒に赤ちゃんの顔やからだを拭いてあげたり、入浴(皮膚の損傷の可能性がなければ)をさせてくれるところもあるそうです。

・赤ちゃんとの思い出に残せるもの
 ~へその緒
 ~髪の毛、爪
 ~手形、足形
 ~母子手帳(身長や体重も記録してもらう)
 ~エコー写真
 ~赤ちゃんの写真、親が赤ちゃんを抱いた写真
  
 写真をとることについてですが、亡くなった人を写真にとるということが日常的にはないため抵抗感を感じたり、また、「写真をとったら赤ちゃんが成仏できない」といったことを理由に周りの親族から反対される場合があるようです。
 私自身も、前に書いたように、少し躊躇する気持がありましたが、夫が強く、「写真をとろう」と言ってくれて、それに従いました。今では残しておいて本当に良かったと思います。 
 アメリカでは、プロのカメラマンが、亡くなった赤ちゃんとの思い出の写真をとってくれるというボランティア活動が一般的に行われているそうです。

 赤ちゃんとの思い出を残し、赤ちゃんを偲ぶことは、悲しみと向かい合うプロセスの中で、とても大切な作業だと思います。悲しみの直後は、思い出すことがあまりに悲しくて辛いので、思い出の品を見ることができない時期がありますが、少し時間が経ってくると、赤ちゃんの存在を確かに感じたくなるときがやってくると思います。その時のために、思い出の品を残しておくことはとても大切だと思います。
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プロフィール

miso1213

Author:miso1213
 2010年12月に6週で初期流産、そして2011年12月13日に息子を38週で死産しています。現在、3歳の娘の母親でもあります。
 自分の悲しみと向き合い、心の中の息子と共に、少しずつ前に進んでいきたいと思っています。同じような死別体験者のために必要な情報提供もしていきたいと考えています。

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